【中国BL事情】腐女子化が加速する中国とBL規制の背景 その1

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こんにちは、み〜なです!

かれこれ1年くらいブログを怠けていましたが(汗)、年末ということもあって1年の仕事や市場状況を振り返り、整理するのに丁度良いと思い、ブログも今後ちまちま書いていこうと思います!

まず簡単に私自身の紹介をさせて頂きます。現在中国のアニメ関連業界で働いている中国人であり、これまで光栄ながら数十作日本のアニメ作品にプロデューサーとして携わらせて頂きました。また、今年からは音声コンテンツ(BLメイン)の製作を開始。アニメや音声市場&BL市場などは日々注目している分野です。

中国BL事情を話すのには一回の記事では詰め込めそうに無いので、以下の章に分けてお話したいと思います:

その1:近年の中国原作BLコンテンツの爆発的ヒットまでの歴史
その2:BLコンテンツの影響力を分析&それにブレーキをかける政策
その3:音声市場xBL の現状紹介
その4:本気でオススメする中国BL作品

それでは!今日はまず、中国ってBLとかの印象無かったけど、何か最近話を聞くようになったよね〜と、あやふやな印象をもっている方向けに、数十年遡って(笑)その歴史を振り返ってみようと思います。因みにこれらはほぼ、日中両方のアニメやBLの歴史を消費者として、そして今は業界人として体験・勉強してきた私の感覚を元に制作しています。

以下のまとめ図

1990年代〜2004年:日本アニメが中国で大ヒット

私自身は1988年生まれで10歳の時に中国に帰国しましたが、その時の感覚は”自分が6歳程の時日本でテレビに張り付いて見ていたアニメを、中国の子達が今見始めた”といった感覚でした。「スラムダンク」や「カードキャプターさくら」、「中華一番!」更には「エヴァンゲリオン」まで地上波で放送していましたし、その世代で日本アニメを見て育った子供達、つまり1980年代〜1990年代前半生まれの子供達は、かなり日本のアニメに親しみを感じた世代でもありました。今年、中国でも「カードキャプターさくら」の展示館が北京や上海で行われましたが、やはり当時のアニメを見てずっとファンだった人たちが多く来店しています。

当時の小学校高学年〜中学の休み時間のエンタメの話題は、「武侠」と呼ばれるジャンルの小説やドラマが多い中、日本アニメの話題もやはり多く、セーラームーンの決めポーズは万国共通で影響力があるんだな…と感じていた記憶があります(笑)

そして、今中国のアニメ業界で私のような中間管理職や、更に上で経営者になっている人達は、ほぼこの時代に多かれ少なかれ日本のアニメの影響を受けている人達でしょう。

また、BLに関しては既に(早い人なら)この時代に一足早く日本の作品がキッカケで目覚めています(笑)

ただ、2004年、その流れが変わりだします。

2004年〜2010年代前半:中国アニメ低迷期&中国ネット小説成長期

2004年、政策により海外アニメを地上波で流す事に対し、高い制限がかかりました(実施開始は2005年1月)。その為、これまでのように”学校から帰ったらテレビに張り付いて日本アニメを見る”といったことがぱったり無くなりました。それからはVCD&DVDの海賊版が蔓延、ネットが普及し中国動画サイトが正規アニメを配信を開始するまでに10年程かかりました。

この政策、かなり諸刃の剣で目的としては中国国産アニメの支援というのもあり、中国国産アニメに補助金なども出していましたが、効果は今ひとつというより、補助金目当てでアニメに熱が無いような人達が多く業界に入って来てはとてつもなく劣化なアニメを多く残して業界を去っていった…というような状況でした。

私も子供の頃から絵を描く事が好きで、日本に居た時も自作漫画を出版社に送った事が有る程、アニメや漫画業界に入りたいと思っていました。だが当時大学の専攻選びをしなくてはいけなかったのが2007年、正に中国アニメ業界が混沌の中で正直全く将来が見えない状態で、少なくともデザイン系で…といった心境で工業デザインを専攻にしてました。

私と同じような考えで当時アニメや漫画の業界に入りたくても、未来性が無いと思い他の事を学んだ人は多いでしょう。

そしてそんな環境だった事も関係しているでしょう。この時代、着実に学生達の市民権を得ていたコンテンツがあります。それが「ネット小説」。

ネットの速度的にも普及出来るのが文字程度だった事も関係しているでしょうが、この時代に入りネット小説が広く学生達の間で普及していきました。そしてその中には、今現在大ヒットしているようなBL小説も含まれます。

この時代から、”同人”的な活動が急激に中国国内でも盛んになってきて、また一歩、BL好きな腐女子が多くなってきました。映画などが中国で上映されるようなアメコミ系作品なども根強い人気があり、非常に文学的にも優秀なBLネット小説も人気を博し、これまで日本アニメ好きだった人もこのジャンルに流れていきました。

だた、1990年代後半から2000年代に生まれた子供達は、そもそも幼少期に日本アニメに自然と触れる機会は減っている為、「ネット小説」が日本的には「漫画、アニメ」の役割を担っていたと言えるでしょう。中国では紙媒体の出版に対しての規制は物凄く厳しい為、ネット小説のような連載投稿式の小説は逆に作家にとっては発揮しやすかったのかもしれません。BL小説でありながら、中国語にして何十万字、更には百万字(❗)を超える超大作も多く書かれています。(本当に非常に優秀な作品が多いです)

ただ、この時はBL小説を見ている腐女子も、仲間と、若しくは個人で小説を見て楽しむ…といった程度であり、全体的に作品のファンは多くても内輪でワイワイといった感じでした。

そこに資本の大波が迫ってきてイッキにBLネット小説がマス向けに押し出されるようになります。

2015年頃〜現在:中国作品の急成長期&BL作品が次々大ヒット

2015年頃から、動画サイトを持つ資本がネット小説のBL作品に目をつけ始めました。テンセント、youku、iQIYIなどの大手プラットフォームがBL小説を原作にしたブロマンスの実写化ドラマを手掛けるようになったのです。その中でも代表的といえるのが:

①鎮魂(原作:prist【鎮魂】)2018年youkuにて配信

②陳情令(原作:墨香铜臭【魔道祖師】)2019年テンセント動画にて配信

③山河令(原作:prist【天涯客】)2021年youkuにて配信

ネット配信ドラマとして、一気にマス向けにブロマンスの門が開かれ、そして上記作品でW主役をはった俳優の人気も急激に上がり一線まで上り上がる程の影響力がありました。

そして2017年にはBL系のネット小説を原作にした有料電子アルバムのボイスドラマ「殺破狼」がリリースされ、ボイスドラマ業界も有料コンテンツとしてはBL作品が人気となっています。

現在のBL関連の情報は今後も沢山お話する機会があると思うのでここでは割愛させて頂きますが、今回は「何故中国でBLが最近イッキに勢いをつけてきたか?」の背景に優秀な作品を長年かけて産んできたネット小説時代の十数年という基盤があり、そこに資本が乗っかってマス向けに発信された、そういった背景が有ることは分かって頂けたでしょう。

次回はもう少しココ数年のBL関連の影響力と、今年のエンタメ業界全体に言える事を背景とした、日本のニュースでも取り上げられた中国の「BL規制?」の状況をお話していきたいと思います。

BL関連は以前の記事でも処々お話しているので、興味が有ったら是非見てみて下さい〜〜

それでは〜

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