【中国BL事情】腐女子化が加速する中国とBL規制の背景 その3

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こんにちは、み〜なです!

以前、【中国BL事情】腐女子化が加速する中国とBL規制の背景 その1 とその2にて中国のBLの大まかな流れをお話し、現状に至るまでの骨組みをザックリ理解して頂けたかと思います。

そして今回は、ドラマやアニメと違い「恋愛感情を原作通りに残せる」形式である音声ビジネスのお話をしていきたいと思います。因みにこの部分は私の今年の本業でもあります。

ドラマやアニメは、マス向けの動画コンテンツとして制作前から当局への届け出及び制作終了後に納品し審査を受け、当局から許可証をもらわないとテレビにも動画サイトにも配信は出来ません。そして恋愛感情があるBLは基本NGです。

ですが、音声はまだ当局審査が無く、”音声配信会社自身で内容が不適切じゃないかどうか、ちゃんと自己審査してね”といった状況です。

その為、オーディオドラマ化と漫画化は、原作であるネット小説の恋愛感情線を引き継いで表現出来る媒体となり、腐女子には基本広く受け入れられています。

元々中国のBLのオーディオドラマは、2010年代前半からBL好きな愛好家が集まりネット小説の作家先生に声をかけ無料で聞けるデジタルオーディオドラマ作品を作っていました。正直今聞いても、これで素人が作ったのか〜と思えるような優秀はいくつもあります。ただ当時はまだ、より情熱を糧とした”サークル感”がありました。

そんな状況をビジネスとしての可能性を示してくれたのが、2017年商業デジタルオーディオドラマとして単品配信販売を行った作品であり、中国でも有名な声優事務所&音響会社の”729声工場”が製作した”殺破狼”(原作:Priest)という作品です。原作小説は60万字を超える長編。古代乱世の中、戦火の中繰り広げる美男達の絆と愛の物語は、臨場感の有るSEと人気声優の演技により、非常に多くの女子を虜にしました。

猫耳FMでのキャプチャ

本作の第一期は本編全12話(毎話25分程)で単品販売価格は19.9元(日本円で300円超)、オーディオドラマを商業化の扉を開いた形となります。(中国で最大のBLオーディオドラマの配信サイト・アプリである猫耳FM内での価格)

現在(2021年11月)までで本サイト内でのこの作品の視聴回数は既に3000万回超え、第二期も3000万回を超え、第三期は5000万回を超えているので、視聴回数は億を超えます。

例えば日本の1クールアニメで中国のサイト上で3000万回の視聴回数というの、1クールの中でも結構中の上レベルと言えるでしょう。

猫耳FM内で一番人気なのは魔道祖師のオーディオドラマですが、全三期でいずれも1億回再生を超え、総計5億回再生されています

魔道祖師のオーディオドラマKV

勿論これらは代表的な作品なのですが、それでも数百万〜一千万再生といった作品が多いので、こういった女性向けオーディオドラマが密かにブレイクしている、ということは感じてもらえたでしょう。

こういったBLオーディオドラマは、大手の猫耳FMやその他のサイトを合わせ、今年だけで既に100作以上がリリースされています。私達聞き手側も、電子アルバムの単価の20元〜30元超というのは、中国のスタバのカフェラテグランデ1杯レベルなので、前2〜3話の無料部分を聞き終わった後続けて聞きたいと思ったら結構すんなり受け入れられる価格帯です。

また、動画は無料時代がとても長く会員制サブスク等が続きた事で、正直マス向けの動画はあまり課金を受け入れられないユーザーが多い中、BLオーディオドラマはニッチな市場でコアターゲットに向けて作るので、ユーザーの課金習慣が動画に比べ、とても良いと言えるでしょう。より”趣味嗜好”や”好きなモノ・ヒト”にお金をかける、がその他はとことんケチる、といった若者の消費習慣ともマッチしているからかな?と思ってます。

作品には投げ銭システムもあり、定価でアルバムを買えば全話聞けるのですが、本当に好きな作品にはその他に投げ銭する人も多く、作品や制作者へ対する感謝と励ましになっています。

そういった完全ToCなビジネスモデルが、アニメの様に動画配信サイト等へ売り込むToBと違う、製作していてリスキーだがおもしろいポイントなのかな、と思ってます。

また、オーディオドラマ自体はやはり女性視聴者が多く、男性は結構オーディオブックを聞きがちですね。やはり恋愛感情のドキドキ感やイケボ男性声優の声でじっくり物語に浸かる事が出来る、感情を自由に表現出来るオーディオドラマと比べ、男性はより、物語がスピーディに進む爽快さや推理小説のロジックがメインだったりするので、オーディオブックの方が相性が良いのでしょう。(ただ、課金習慣は微妙かもしれませんが…)

また、中国のオーディオドラマでどのサイト・アプリでもあるのが、”弾幕”。デジタルならではですが、これもやはり若者のオンラインコンテンツには既に欠かせない機能でしょう。リリース直後にフィードバックが開始するので、製作側はハラハラドキドキしますが、ストーリーのどこで絶叫して、どこに違和感を感じたのか、ファンの考えをモロに反映してくれるので有難いツールです。

弾幕 (作品は最近ハマってる”燎原”という作品。眼科医x刺青師)

因みに現在中国でBLオーディオブックを聞くツールとしては、数&質で最も最大手は「猫耳FM」。2020年度の紹介では既にDAU150万+、MAU450万+に達しています。そして2020年から作品の製作数では「克拉漫播」も既に数十作品をリリースしており、大手のテンセントやネットイース・クラウドミュージック等も参入してきています。

「お耳の経済」自体は現在世界中で話題となっていますが、多分中国の状況、特にBLのオーディオドラマについては知らない方も多いのではないのかなーと思い、今回簡単に紹介させて頂きました。

魔道祖師や天官赐福など、既に日本でも知ってる方がいる作品の他にも、まだまだ面白い中国BL作品がいっぱい有るので、またの機会にご紹介しようと思います!日本でも日本語版が発売されれば売れるんじゃ…と思ってますが、翻訳が難しそう…(涙)

それでは、またの機会に〜

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