【中国アニメ】アクション・中国絵風の人気話題作「霧山五行」がすごかったので紹介します。

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アニメ

今日は同僚が配信前から激推してきた中国アニメ「霧山五行」のお話をしたいと思います。

2020年7月26日からビリビリで配信が開始された「霧山五行」は本当にここ数日、中国のアニメ関連のメディアも視聴者も激推している話題作品です。

《雾山五行》预告Fog Hill of the Five Elements
Youtubeでオフィシャルアカウントを見つけました!PVです。

個人的にも作品を見て、そして制作スタジオの状況やクレジットを見て、これはもっと沢山の人に知ってほしい!と思い今回のブログで紹介したいと思います。

物語

魑魅魍魎が跋扈する上古時代、謎の道人が陰陽五行の特殊能力を金、木、水、火、土の5つの家系に授けた。

人々の絶望の際に出現した彼ら五行使者は、共に妖獣達を新隠霧山に追い込み結界として「神盾」を張る。

「神盾」には霊獣麒麟が生息しており、麒麟の血や鱗には病を直す力が宿るという。

五行の一人、火行は母の病を直す為、勝手に「神盾」をこじ開け、その隙をついた麒麟の幼獣が逃亡。

麒麟の幼獣は妖獣も人間も欲しがる宝であり、人間の邪悪な本性をも引き出し、世はまた血の海へと変貌する…

五行は中国古代哲学における系統観であり、五行理論で神羅万象の構成及びその関係を説いていた。その考えは後に中国医学、占いなど多くの領域に影響を及ぼしている。

そんな”五行”に纏わる話として、とても中国風な作品である事は理解頂けるだろう。そしてそんな作品にとてもマッチしているのが本作の魅力の一つ、中国の水墨画を研究して制作された背景であろう。

オープニングの背景も凝っており、水墨画の色の変化や流動性も見られる。

雾山五行OP《渊海无畏》正式发布!Fog Hill of Five Elements OP 《No fear of the deep ocean》official release
OPの『渊海无畏』歌っているのは監督の林魂

どことなく懐かしさや親しみ感の有る柔らかな水墨画風なタッチに加え、本作のもう一つの魅力は、アクションシーンだ。

迫力の有るアクションシーンは作品の所々で出てきてはかなりの尺を占める。林魂監督が描くのを得意とするアクションシーンは、他の作品でもアクション単独でも外注を受けているようだ。

Fog Hill of Five Elements Extended Trailer

そんな作品を作り上げたのは、どんな会社なのか?

メインとなる制作スタジオは監督率いる「六道無魚」。3人から始まり、10人を超えた事が無いスタジオで、通常6人程度のかなり田舎に有るスタジオ。窓からアヒルが見えて、物語に大量に出てくるアヒル(CV:監督)も、それが影響しているのだろう。ビリビリのインタビューでは、監督曰くとにかく人が足りない、だから作業速度が遅くてその後の話数の制作が追いつかないそう。そして若い社員達はインタビューで同じくとにかく人が少なく皆大変だけど、困った事は全部監督がやってくれるとの事(笑)

それは以下のクレジットでもお分かり頂けるだろう:

林魂監督は監督、プロデューサー、脚本、原画・動画、仕上げ、背景、美術監督、作画監督、絵コンテ、動画設定諸々主題歌を歌う事からアヒルのCVまでなんでもこなす。

過酷な中国のアニメ業界では、歌が歌えない原画マンは良い監督じゃないとネタで言われる程だが、一人十役をやれる程全能スキルを持たねばならないのは、逆に業界にとっっはとても考え深い事でも有る。

中国アニメ業界のこれまでの歩みは、正直色々な外因により結構振り回されてきた業界だった。2004年からは政府の補助金狙いでお粗末すぎる出来のモノを長々と作る人たちの出現で業界の名は腐りに腐り、多くのアニメ関連者は失望して業界を去っていった。

私自身は2007年の”高考”(中国のセンター試験)に参加し、大学受験で専攻を選ぶ時、当時はいくつかの大学が”アニメ専攻”を開いていたから調べてみたが、正直古いアニメ研究的な理論上のことしか無く、かなり失望した。そこで日本のアニメーター育成学校に行きたい事を親に話したら、真っ向から反対されたので、そこそこ関わりが有りそうな「工業デザイン」専攻を選んだ。

正直、夢を追うには過酷すぎる、絶望的な環境だった。

本作のエンディングには、アニメ制作陣のクレジットの後に監督から一言メッセージが有る:

「ひとり一人の、このアニメ業界で踏ん張り続けたアニメ人を大切にしてほしい」

近年、中国アニメがちょっとづつ注目され始め、2019年のアニメ映画「ナタ」の成功は色々と話題を呼んだ。だが、以前の記事【制作面】中国アニメ制作業界のほぼ半分を巻き込んだ人気映画『Ne Zha(哪吒)』やその後の各フェーズから紹介したヒットした理由などからも分かるように、華々しい成功の裏には一種の業界の意地のようなものが有る。

だが、どの作品もこれ程までに注力されるものでは無く、一定の資本協力は有るものも、本作の誕生までには4年の歳月を費やしているのに対して、完成している話数は少ない。監督と監督についてきたスタッフ数人がメインとなり、もう一つの製作・制作会社の「好伝動画」も制作協力をしているが、彼らも今年の大ヒットアニメ「大理寺日記」の制作でかなりキツキツな状態だっただろう。

そんな中、自分の色を存分に発揮して作られた良作である「霧山五行」に業界が支持の声を大にして発信していくのは、とても必要なことだと思っている。

そして、ビリビリ独占で配信されている本作の冒頭とクレジット部分が弾幕で”辛苦了!(お疲れ様!)”が画面いっぱいに広がっている所を見ると、アニメファンの心にも刺さったことが伺える。

きっと、このような良作を見て育ったアニメファンの一部が、将来中国アニメ業界に踏み込む勇気が湧いてきて、業界を支える新勢力になると良いなと思っています。

これからも中国アニメで良い作品が有ったらどんどん紹介していきたいと思ってます!

ではまた〜

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