【文化エンタメ産業の新たな生態圏:成都】テンセント、ネットイース、バイトダンスが揃って成都を選ぶ理由

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2020年の8月20日、テンセントの「新文創総本部」が成都に設立。総投資費用は50億人民元(約770億円)。

同日、ネットイースが「ネットイースデジタル産業基地」を成都の高新区に設立。総投資費用は130億人民元(約2000億円)。

そしてその5日後、バイトダンス(TikTokの親会社)が新規クリエイティブ関連業務の中核を同じく高新区に設立、計画している総投資費用は100億人民元(約1500億円)であることを発表。

なぜ、これらのIT企業が揃いも揃って会社の文化+エンタメ関連業務を成都に新設・移設するのか。今日はその背景をざっくりお話してみたいと思います。

”新文創(Neo-culutre creativity)”:”汎娯楽”概念後のグレードアップ版。IPを核に従来の産業価値だけでは無く、IPの長期的な文化的価値テクノロジーと融合して維持、向上する取り組み。
⇑ざっくりな解釈。参考中文記事:人民網

成都の文化的土壌

”成都”の名は紀元前5世紀頃には使われており、蜀国の都城という意味のようだ。つまりは既に2000年を超える歴史が有り、此の地では今だに多くの面白い遺跡が発掘されている。

此の地域独特な千年を超える文化は今でも独特な魅力を放ち、そして経済的地位は”一線都市”の北京、上海、広州、深センに続き”新一線都市”の筆頭を爆走している非常に多面的な属性を持っている都市だ。

私も出張やロケハンで何度か行っているが、現代的なインスタ映えしそうなスポットも多ければ、歴史を感じさせる文化面の深さも有り、料理も美味しく(辛いが)ゆったり住んでみたい都市である。

この人口1600万人+の中国内陸部の大都市には実は多くのゲーム会社やアニメ制作会社が有り、テンセントの稼ぎ頭でも有る社会現象級スマホゲーム「王者荣耀」の開発を手掛けるテンセント・ゲームの天美スタジオや2019年の大ヒットアニメ映画「ナタ」の監督の所在する制作会社である可可豆动画などは成都を拠点としている。因みに「ナタ」は携わっている制作会社は多く、その内元請け的な可可豆动画以外にも十数社の下請け制作会社は成都を拠点としており、北京に次ぐ数だという。

また、業界内では成都・重慶は内陸部屈指のACGN市場が比較的成熟している都市として周知されており、若いアニメ・ゲームファンは多い。

つまりは、新文創の土壌としては人材的な意味でもかなり競争力の有る都市なのだ。

そして大都市特有の現代的な早い生活リズムが存在すると同時に、これまた成都特有なゆったりしたリズムも存在しており、それがクリエイティブな仕事に向いた環境を作り出しているのだろう。

政府がめっちゃ力を入れている

そんな既存な特徴を更に後押ししているのが政府だろう。

2016年、《“十三五”国家战略性新産業計画》にて初めて”文化産業と高度に融合されたデジタルクリエイティブ産業”を国家戦略の一つとして発表。まあ、”クールジャパン”的な感じかな?特別に覚えやすいネーミングがされている訳では無いが。

その後、各地が我こそが!といった勢いでこの新たな産業に対して情熱を燃やし、次々と地方政府が政策を出してきた。

そしてそれは成都も勿論同じであり、《成都市文化産業发展“十三五”計画》で大々的に都市設計を巻き込みこの”文化産業と高度に融合されたデジタルクリエイティブ産業”の発展に力を入れている。

都市設計をも変え、2つのコアとなるディビジョンに分かれて新産業を支援。図:四川日報より

ぶっちゃけ、各地は人材強奪戦状況。

そして実はこの“十三五”計画が出てくる前から既にアニメやゲームなどの文化エンタメ関連業界に力を入れていた成都は(2000代から中国ゲーム&アニメ産業でトップを目標にしていた)、関連の産業の税制の優遇、レンタル賃金の減免、人材補填金など一連の政策でこの産業を支えていた。そして“十三五”計画中には更に続々と関連支援をしており、例えば2017年にはには大学卒業5年以内のコンテンツ系スタートアップの大学生には、最高50万人民元、最長3年の無利子で資金を貸出、スタートアップを手助けしている。その他関連業界で年収50万人民元以上の収入が有る産業の貢献社には、更に激励金を配布するなどの政策を実施してきた。

人に対してだけでは無く、プロジェクト単位でも此のような政策は存在し、更に人材を成都に留めておける為にも産業の新区域を生活のしやすい地域設計にするなど、元々一線都市と比べて生活費が元々低いだけに、一線都市から来た人達にとってもかなり生活水準を保ったまま居心地良く創作出来る環境を目指しているようだ。

成都は個人的にもイイ印象しか無い都市なだけに、更なる文化エンタメ産業での発展を見守りたい。

今日はここまで、今回の記事はもう少しブラッシュアップ出来そうなので、調べた新情報は後から付け足すかも。

ではまた〜

参考資料:成都市“十三五”文化产业发展规划

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