真逆なパターンも….?日本&中国アニメ宣伝施策の違い

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アニメ

こんにちは!中国でアニメのプロデューサーをしているみ〜なです。今日は元日系PR&広告代理店で働いていた経験と、日本アニメ委員会へも参加している現在の仕事と照らし合わせ、日本と中国でアニメの宣伝周りでかなり違うな〜と思った事をお話ししていきたいと思います!

そもそものPR関連の業界の習慣の違いや”オフィシャル”のポジションの違いなど、日本側からすると、知らないと”ちょっと中国側、大丈夫 …?”と不安に思えてしまう事をメインにピックアップしています。

その1:プレスリリースの違い、中国は基本”有料”

PRのメインの仕事の一つはニュースレターを制作し、情報解禁前にメディアに送る事でしょう。ニュースとしてメディア側が採用すれば記事にしてくれ、解禁時間後に情報解禁してくれます。”アニメ化決定!”、”キャスト発表”、”放送時期・局の決定”、”PV公開”などは特にアニメ宣伝の際には重要なポイントとなるでしょう。

2013年頃、私が日系のPR会社の北京支社にいた時、実は一番日本でのPR関連で驚いたのが、”ニュース掲載にお金は基本かからない”という事です。つまりニュースか否かの判断はほぼメディア側に有るという事。言い方を変えると、PRと広告の境目がプレスリリースにおいては結構はっきりしているな〜という感覚でした。

これは実は中国のプレスリリースとはかなり違い、中国のプレスリリースは有料で有る事が殆どです。完成された原稿を、ほぼ最初っから最後まで文字を変えずに各ニュースサイトで掲載する事を一般的に”プレスリリースをする(发新闻稿)”という事になります。その対価として、日本円にして1万弱〜数万程の対価をメディアに支払ます。それが伝統的なニュースメディアでは無くウェイボーやWechatのフォロワー多めな人気アカウントメディアの場合は、価格は更に高くなります。タイアップとかでは無い、単純にプレスリリースの話です。

これは、メディアの闇とかそういった感覚では無く、中国で展開している日系ブランドの新作発表、イベントなどでも普通にPR業務に盛り込まれている既に常識化した事です。

そしてこれは中国でのアニメの宣伝に関しても同様です。(ただ、アニメの場合は苦しい環境で頑張っている同胞…! 的な仲間感が有り、無料で記事にしてくれるメディアの担当もしばしば…稀なケースが存在する業界では有ります。)

PR会社や会社の市場部のメディア担当のディレクターは、如何にしてクライアント・自社のPRのコストを下げるかが腕の見せ所では有るので、概ね土日返上でメディアとは友達関係を築いていたりします。(当時の先輩は週末にメディアの会社の人数名に付き合ってスキーに行き一緒に袋麺を茹でて食べたといっていました。)

こういった所は、PR業界の変な風習とも言えるのですが、実際存在している状況なのです。中国でのアニメの宣伝の際も、特に重要プロジェクト・映画なども場合などは、一種のコストとして見込んで置いた方が良い常識的なポイントとなります。

その2:SNS公式アカウントとファンの距離感の違い、中国はめちゃくちゃ近い

情報公開やキャンペーンなどを行う際に活用される、日本で言えアニメのオフィシャルツイッター、中国ではオフィシャルウェイボーアカウントの宣伝運営の空気感はかなり差があります。

日本側はオフィシャルツイッターでは”公式”ポジションとして余り砕けた雰囲気の有るアカウントは少ない印象です。気軽にファンの作品関連のツイートに対してリツイート、コメントしたりする状況は少ないでしょう。

コメントをして変に解釈されては困りますから、とても理解出来る行為です。

一方、中国側でウェイボーを運営する際は、私も数年前ウェイボー運営を1年程担当していた時期が有りましたが、ファンとのエンゲージメント強化が何より重要でした。

オフィシャルウェイボーは作品のファンコミュニティ構築の第一歩としてとても重要なツールです。その為、ファンからついたコメントには積極的に返していきます。ファンのツイートに対するリツイート、いいねも積極的に行っていきます。ぶっちゃけ運営上炎上ごとになるより怖いのが、情報配信ツールでしか無くファンのエンゲージメントが低いままでいる事です。

いい加減でマニュアル化してない運営だな〜と思われ易いですが、ファンとのフラットな関係を築きコミュニティリーダー的な役割を果たす為でも有ったりするので、やはり日本側との違いが出やすいのです。

その3:PV発表の用途、日本とは違う可能性も…?

日本アニメでのPVティザーPVの解禁、正式PVの解禁が始まるのは既にとっくに制作に入り、放送まで一ヶ月〜数ヶ月前から解禁が始まるパターンが多いでしょう。放送を見てもらうのが一番の目的ですから、あんまり早く解禁しても忘れ去られてしまいます。

中国の場合はPV公開はそれより時期的には早い事が多く、更に言えばPVのキャラクターデザインが本編と違う事も有ったりします。これは主に原作の有る作品に対して言える事ですが、PV公開後に明らかにキャラクターのイメージに対して酷評が集まった場合は3Dのモデリングを修正したりする事があります。

自分の制作に誇りを〜と思う制作会社が有る一方、確実に市場でイイ視聴回数を叩き出したい!と思う制作側もいるので、原作IPの既存のファンの考えを参考にしたいと思うのもまた、理解の出来る考えでしょう。(重量級のIPだと数千万のファンがいますからね…)

PVに関しては以前も記事を書いております:

【中国アニメ】PVだけ出してその後音沙汰無しなのは何故か?日本アニメとの資金調達の違い。

今日は3つ、日中アニメ宣伝に関して私が経験上感じた違いをお話してきました。実はその他細かい例を挙げるととても多く、例えば宣伝時のイラストへの考えや施策について、同人系との距離感、どこまでオフィシャルの名で施策をやるのか?など色々思い浮かび上がります。

総合的にいうと、中国側の施策は全体的にマニュアル化・パターン化がそこまでされていなく、それでいて猪突猛進型で止めが入らなければサクッとやっちゃう的な雰囲気が有ります。

これも新しく進歩が早いアニメ業界ならでは、とも言えるのかもしれません。(映画宣伝などは業界としてパターン化していると言えるので)

今後も、個人的に思いついた業界情報を気軽にお話していきたいと思ってます。

ではまた〜

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