この前はビリビリが製作&独占配信していた2020夏アニメをご紹介しました:
【中国アニメ】ネットアニメのクオリティが急上昇!2020年7月ビリビリ配信の中国3DCGアニメオススメ:「天宝伏妖录」、「灵笼」
【中国アニメ】ネットアニメのクオリティが急上昇!2020年7月ビリビリ配信の中国3DCGアニメオススメ:「元龍」、「凡人修仙伝」
その時はまだテンセントの夏アニメがほぼ配信を開始していない状況でしたが、今日はその後配信を開始し個人的に特色が有ると思えた作品、「鏡・双城」をご紹介します!
■ 映画クオリティを目指したネットアニメ:「鏡・双城」
作品名:鏡・双城 (「鏡」長編シリーズの第一部)
原作者:沧月
出版:2008年万卷出版公司より出版
アニメ製作:腾讯影业(Tencent Pictures)、企鹅影视
アニメーション制作:福熙影视
ジャンル:冒険、東方ファンタジー
あらすじ
少数民族の苗族の少女那笙は、乱世の地から逃げる為、夢の桃源郷—雲荒へ辿り着く為に長く過酷な道のりを歩いていた。
だが、雲荒とは本当に伝説の桃源郷なのだろうか?
一歩一歩、真実に近づくにつれて、少女は奇妙でおどろおどろしい状況に巻き込まれていく。
そしてその過程で出会う個性的な人物達(目が見えない傀儡使いの青年など)との出会いで、神秘的なストーリーが繰り広げられていく。
本作の広大な世界観で繰り広げられる重厚感の有るストーリーは、既に原作段階で多くの読者を魅了しています。
2015年には中国企業の儒意影业とカナダ企業のSyon MediaがフランスCannes International Film Festivalで映画化を共同発表。その当時既に原作小説のセールスは700万冊を超えている大ヒット原作です。
勿論、良い原作に目をつけたのは彼らだけでは無く、本作を原作としたドラマ、アニメ製作に本腰をいれてきたのがテンセントです。
実写ネットドラマの配信を控えたテンセントが、作品のエピローグ的な意味合いを持つアニメ「鏡・双城風起篇」全4話を先に一気に配信したのは、IP展開への肩慣らし的な意味合いも有ったのかな?と推測出来ます。(アニメ作品のその後の展開は現配信時期の発表を待っている状況です。)
本作の制作関連で驚いた点:
■ テンセントの制作スタジオの責任者は「熊出没」プロジェクトの開発者だった。
本作の制作を福熙影视と共に手掛けるのは、Tencent Picturesの「进化娱乐工作室」。その責任者である刘富源氏は中国の国民的IP「熊出没」映画シリーズを手掛けた張本人であり(そして「熊出没」の会社の华强方特动漫の元総経理)、2015年にテンセントに加入していた。
元々制作畑の人であり、本作のインタビューでも「物語をしっかりと伝えていく」事の重要性を語ると共に、現在のアニメのコモディティ化や派手なバトルシーンにばかり重点を置く現状には懸念を抱いているようだ。
そして元々映画畑の人でも有ったことから、本作の制作には大量に映画級のプロチームを使用している。
■ やっと「网红脸(インフルエンサー顔)」では無い3DCGネットアニメのキャラが!
中国の3DCGアニメでは”幼児向けは動物ばかり”、青年向けの等身大キャラのネットアニメは「网红脸(インフルエンサー顔)」と呼ばれる、あまり良い意味では使われないイメージが存在したりします。
「网红脸(インフルエンサー顔)」:ネット上の女性インフルエンサー達の顔が整形で似すぎていると、少しネガティブな意味合いを持つ単語。
その為、初めて苗族の少女那笙のキャラクターを見た時は、いい意味でかなり驚きました。
低い鼻筋、尖りすぎていない顔立ち、目と眉の間の自然な距離など、見ていてとても親しみを感じるキャラになっていると思います。東方の女の子として違和感無く受け入れられます。
そして主人公の男の子苏摩の幼少期のデザインも、心を閉ざした絶世の美少年感は確かに感じ取れるかなと思います。
ただ、主要キャラクターの中でも白璎という女の子は、「网红脸(インフルエンサー顔)」にはなっていないものの、もう少し可愛く出来たのでは…(笑)とは思いましたね。
どうであれ先日紹介した「凡人修仙伝」しかり本作しかり、「网红脸(インフルエンサー顔)」からきょりを取ったネットアニメの出現は、注目していくべき流れだと思っています。
ただ多くのコメントを見ていても、現在既に「网红脸(インフルエンサー顔)」を見慣れたからか、これらの脱コモディティ化を目指したキャラクターデザインが「美しくない」と思う若者がどんどん多くなっている事に懸念を感じる時があります。現代の流行の美意識に縛りつけられ過ぎないように注意していくべきなのは、制作側も視聴者の両方に言える、ということでしょうか。
■ またしてもモーションキャプチャ+Unreal Engine 4を使用
2020年7月ビリビリで配信を開始した「凡人修仙伝」の映像制作では、原力动漫がネットアニメで初めて数百分単位でモーションキャプチャ+Unreal Engine 4の組み合わせで制作している事が話題となりました。それが一ヶ月後に配信を開始した本作でも使われているとなると、ネットアニメでも今後もどんどん映画やゲーム領域から来る技術の向上により、現在の映画並の映像クオリティが普通に見れる流れが来るのは期待出来るでしょう。
そして最近色々な制作会社の株主企業の顔ぶれを見ると、中にはVR畑で黙々と種を巻いている会社も存在し、「これは…」と色々妄想欲を掻き立てる将来イメージが浮かび上がります(笑)
テクノロジー+コンテンツで、より一層面白くなりそうです。
今日はここまで、
ではまた〜
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