【中国アニメ】アニメ「穿書自救指南」、「天宫赐福」の紹介と腐女子市場の可能性について

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中国のコンテンツ市場と言えば、「審査厳しいんでしょう?」、「血の色は赤じゃいけないんでしょう?」など色々とかなり表現に対しての制限が厳しいイメージを持っている方は多いと思います。

それはまぁ大まか事実で(私も正にそんな環境の中仕事をしているので)、常に「これは審査…厳しいかもなぁ」と常に頭を悩ませていたりします。

ただ、例えそれでもやはり思うのが、中国のBL原作作品の中国腐女子市場及びその延長線の射程範囲内に有るマス市場への影響力の大きさです。

えっ、BLと中国市場って全然結びつけた事なかった…というかタブーなんじゃないの?と思われた方も多いでしょう。

今日は中国の業界内(というか一般的にも?)では既に周知の状況でありながら、恐らく多くの海外の業界人があまり注目していなかった隠れた巨大市場をこっそりお話ししてみたいと思います。

アニメ「穿書自救指南」、「天宫赐福」について

「魔道祖师」(ドラマ名:陳情令)に詳しい方は知っているかもしれませんが、原作は晋江文学城という女性向け小説が多いネット文学プラットフォームで連載されていた作品で、作家墨香铜臭は「魔道祖师」の他二つのBL系代表作が有り、墨家三部作としてファンにはとても親しまれています。連載の年代から順に:

第一部が「人渣反派自救系统」(アニメ名:穿書自救指南)

第二部が「魔道祖师」(アニメ名同名;ドラマ名:陳情令)

第三部が「天宫赐福」(アニメ:同名)です。

「魔道祖师」を原作にしたアニメ、ドラマ、音声ドラマなどは既に中国で爆発的大ヒット。どれをとっても億単位の視聴回数を叩き出しております。

その為、自然と同作家の他2作に対し、資本的ビジネスの観点からみてもとてつもなく期待されており、そしてその2作のアニメは「穿書自救指南」が既に2020年9月22日現在、テンセント動画で3話配信されており、既に視聴回数は6000万回を超えています。

そして「天宫赐福」も先日、2020年10月31日からビリビリでの配信を発表し、大きな話題を呼んでいます。

また、墨家三部作のドラマリメイク権利の使用料などは金字塔のテッペン級の原作なので、えげつない程高いです(「天宫赐福」のドラマリメイク金額は12話アニメが作れてまだ余る程だと噂されています)。

【ENG SUB】Heaven Official's Blessing《天官赐福》动画预告公开:我永远不会离开你 我会回来的 殿下 Let's Stay Together, Forever #B站
絵夢制作のアニメ「天宫赐福」

今回は墨家三部作を例に出しましたが、その他現在アニメが配信されている作品の中にも、BL原作は数作有り、どれも中々の話題性、視聴回数を誇っています。

ここまで聞いて少し驚いた方も多いでしょう。BL原作作品がそこまで人気って…全然イメージ無かったけど、中国人って何割が腐女子なの?(汗)と。

一つの誤解が解けた所でもう一つ逆の方向に誤解を生むのも良くないので、ここから少しずつ解説していきたいと思います。(笑)

映像化リメイクと原作の違い

日本のBL原作作品の映像化との大きな違いは、中国ではアニメ化・ドラマ化の際には原作の感情線をかなり大胆に削ぎとしてしまうことです。その為、下手したら「女性ヒロイン」が出てくる事まで心配しなくてはならないのは、原作ファンにとってはかなり苦痛でしょう。

ただ、なぜBLの感情線を削ぎ落とさなくてはならないかは、大きく二つの理由が有ると考えています。

①審査へのいわば忖度的な状況と自衛的判断

明文化された規制は無いので、どこがレッドラインか微妙に判断しずらいですが、思い返せば、どれほどの表現でBLなのかを社内で討論したこともありましたが…(決着つかず)、とにかくBLの「恋」の感情線はほぼ抜き取り、腐女子以外の人が見た場合、あまり違和感無く「男同士のアツい友情」くらいの感覚で作品を見れるくらいまで感情線の性質が変化されていれば、まぁ審査には通って作品をボツにしなくてはならない事は免れるだろうと色々な具合を見て線引きを判断するのは、製作会社側です。

②マス向け展開で大ヒットを狙うのには不可欠

これは後にクロスメディア展開されるBL原作作品に共通している点ですが、ターゲットがマス市場に射程範囲を広げれば広げる程、これらの感情線はより、見る人の捉え方でに委ねられる傾向にあります(大体:原作小説⇨音声ドラマ・漫画⇨アニメ⇨ドラマの順で右にいくほどマス向け)。どの製作会社も、特にドラマの場合などはより制作費もリメイク料金もかなり高い中、マス向けに受け入れられ大ヒット出来る作品作りを心がける事はビジネス上何ら不思議では有りません。

それは裏を返せば原作自体が世界観やキャラクター、ストーリーがとてもしっかりした内容になっているからこそ、感情線が原作程明確でなくても成し得たのです

私が思う中国BL小説の強みは、感情線がたとえ友情に差し替えられても成り立つ広大な世界観が既に原作段階で構築されており、キャラクターが恋愛感情意外にフォーカスしている成長軸や行動原理が有り、それが人物像を立体的に見せている、原作のクオリティの高さでしょう。

それ故に、腐女子から見たら「原作よりは甘さ控えめなリメイク作品」

母親が見たら「男女恋愛が薄めの面白い作品」

父親が見たら「主人公の成長物語、若くは男の友情を大切にしている漢気の有る友情物語(汗)」

といった様に、恋愛面での「余白」が有る事により、見る人の捉え方に委ねられ、より多くストーリー自体の面白さを追求する事が出来ているのかな、と感じています。

つくづく思うのが、中国には文章を通して良い作品を作れる作家は多い。ただそれを絵や映像で表現する技量の有る人材が、ここ数十年色々な理由により少なかった。

それがここ数年、個人やスタジオレベルで徐々に現れてきた状況にはやはり嬉しさが込み上げてきます。

今日は、少しずつ海外でも話題作が増えた中国のBL原作のアニメやドラマに対して、疑問や誤解が無いようにと思い書かせてもらいました。※あくまでも個人的な見解を元に書いております。

端から見たら、「市場の人気」と「政策」でかなり矛盾した印象を受けるかなとは思いますが、実際はどちらも考慮した中で最適化のバランスを探るかなり繊細な作業をしている状況だと言えるでしょう。

因みに本当の腐女子市場と関連のビジネスは実はかな〜り奥が深く、続きを書くかは…悩んでいます(笑)

今日はここまで!

ではまた〜

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