【中国アニメ映画】大注目映画「姜子牙」の制作裏:2D篇が公開。

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アニメ

2020年の国慶節に上映される中国アニメ映画「姜子牙」。元々今年の春節上映予定だったがコロナにより延期された、2020年中国で一番注目されているアニメ映画です。

なぜそこまで注目されているのかの振り返り:

【制作面】中国アニメ制作業界のほぼ半分を巻き込んだ映画『Ne Zha』(哪吒;ナタ) 
【内容面】映画『Ne Zha』(哪吒;ナタ)のドストレートなコンセプト。中国でマスを攻める最低限の注意点とは。 
【宣伝&配給】『Ne Zha』(哪吒;ナタ)、BLを巻き込む宣伝と製作者エンライト·メディアの本気。
【投資&改善点】中国ヒットアニメ映画の“システム化”を狙う製作会社及び『Ne Zha』(哪吒;ナタ)から見る改善点。
【未来】ナタに続くか??2020年ー2021年注目すべき中国成人向けアニメ映画TOP 10

ここ数日一段と宣伝力が増している本作ですが、先日本作の監督が作中の2D(セルアニメ)部分の制作に対して紹介していたので、その中で気づいた注目ポイントをお伝えしていきたいと思います。

电影《#姜子牙》》/ Legend of Deification 发布制作特辑之二维篇 预售已全面开启! 【预告片先知| Movie Trailer】

まず、本作の製作会社を観察すると、そこは「ナタ」と同じ様に、エンライト及びエンライトの子会社でアニメ映画制作事業を担う彩条屋が名を連ね、そして彩条屋が出資している制作会社の中傅合道や「ナタ」の監督が属する制作会社の可可豆动画が本作の共同製作会社だという事がわかります。

ただ、本作の制作のメイン所は、中傅合道という制作会社です。上の動画でインタビューに答えているのも、中傅合道に所属する監督やスタッフ。

そして、今回記事を書こうと思った最大の理由は、2D部分制作の困難や膨大な作業量よりも、さらに考え深い内容のインタビューだと思ったからです。

【姜子牙】の監督情報を見てとにかくびっくりした…

この動画を最初見て、冒頭の2Dの感覚がとにかく”親しみ感”があるなぁと思えてなりませんでした。

そしてその後、監督のコメント部分に入り、とにかく驚いたのが監督の過去作品欄です。

李監督の過去作品

映画「宝莲灯」の原画。

正直、二度見をしました。本作は中国アニメがその後衰退期に入るギリギリ前の1999年に上映された、中国アニメ史上でも最高峰と言えるアニメ映画です。上海美术电影制片厂が制作し、80後、90後前半の世代の人にとっては、とても思い入れが有る作品でしょう。主題歌や挿入歌はトップレベルの歌手、李玟の《想你的365天》、北京五輪開幕式でも歌った刘欢による《天地在我心》、张信哲による《爱就一个字》など、今でも多くの中国人はこれらの名曲を聞いただけで、「宝莲灯」の映像を思い浮かべることでしょう。

1999年上映した 映画「宝莲灯」

そして、その後中国アニメ業界は”衰退の十数年”を過ごしました。

以前書いた記事で、その理由を述べています:

【中国アニメ】なぜ、中国のアニメ業界人の平均年齢が若いのか、政策と共にその歴史背景を紹介。

既に上海美术电影制片厂制作の当時の黄金時代、アニメを制作していた先輩達は多くの方が制作の現場を離れたという印象です。ですがその中でも、「宝莲灯」は制作していた時代は比較的黄金時代の最後の奮闘期と言える時の作品で有り、若いスタッフも多かったと聞きます。

ただ、それでもやはりその後のアニメ業界の環境がとにかく良く無かった為、この業界に居続けていた方は少なかったでしょう。それ故に、現在のアニメ畑は業界の先輩が少なく、若者が自分達で試行錯誤し、もがきながらアニメ制作をしているような状況が殆どだったのです。多くの中国アニメが日本やアメリカのアニメの影が非常に強い印象を受けるのも、古き中国アニメの伝統が途絶えていた事も影響しているでしょう。

そんな中、今回の監督の一人である李炜監督は、中傅合道に所属していると共に、中国传媒大学で教鞭を取り「原画デザイン」、「絵コンテデザイン」の科目を教師として教えてきていました。次世代へ手描きのアニメ制作の方法を教えてきたと同時に、同じく現在中傅合道に所属している元中国传媒大学の卒業生、アメリカDreamWorks Studiosでの仕事経験をもつ新世代の若手監督、程腾監督と二人で本作品の監督を担っている所がとても注目すべき点でしょう。(若手監督の名前を自分より前に出す所が尊敬出来ます)

古き中国アニメの味を残しつつ、3DCGの技術をもってどの様に封神シリーズの物語を語るのか、その表現方法には注目すべきでしょう。

また、動画インタビューで李監督が最後に話していた言葉が刺さりました:

「我希望,我们的诚意,加上观众的包容,能够让中国动画,更健康的发展。」

訳:「僕たちの誠心誠意と観客からの理解により、中国アニメをより健康的に発展させる事が出来たらと思っています。」

この”健康的に”という言葉に秘められた思いこそが、長年この業界にいて次世代の育成へ貢献してきた大先輩の切なる希望であることが伝わります。

補足:

また、本作の制作に携わった方から話を聴くと、制作クオリティは「ナタ」を上回るとの印象を受けているそうです。

ただ、私が個人的に思えるのは、「ナタ」はメッセージ性がとてつもなく真っ直ぐである為映画の射程範囲が広がった特徴が有ると思えるのですが、恐らく「姜子牙」はそこまで分かり易くは無いのかなと。その為、興行収入的にはその点がマイナスに働きそうでは有ると予想されます。

ともあれ、映画の宣伝期間にこの動画を出してきたのは本当にずるいですね!映画を見る時により心掛けて見なくちゃ!と思ってしまいます。

今日はここまで、ではまた〜

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