【中国アニメ】PVだけ出してその後音沙汰無しなのは何故か?日本アニメとの資金調達の違い。

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アニメ

中国アニメ情報に関心が有る方は、「そう言えば、数年前にアニメ化発表されたあの作品、その後話を聞かないなぁ…」と思う事は有るかと思います。はい、私もです。

正直、この裏事情と思考回路はかなり日本と中国で違う部分が大きいので、今日はそのお話をしていきたいと思います。

結論からいうと、アニメの制作スタジオが発表したPVは、まだその作品の本編制作の資金まで掻き集められていない状況が多いです。その為、PVはその後本編制作に入る為の資金調達のDEMOの意味合いと、市場の反応を見る為に発表している可能性があります。

日本では多分、というかほぼほぼ考えられない操作なのかな…?と思います。

日本はやはり業界が既に成熟しているという事もあり、通常は2〜3年程前から委員会組成が始まり、既に総製作費の出資先が決まった(少なくとも大半以上が決まっている)状況で無いと対外的にはアニメ化についてアナウンスしないのが殆どかと思います。

ティザーPVが解禁されるのはそれこそアニメ放送の数ヶ月前であり、宣伝が本格的に動き出してから。流石に数年前にPVだけが出るのは、かなり稀なケースなののでは無いでしょうか。

ファンにとっては一番誠実的ですが、そこはやはり市場の成熟度が有ってこそなのかと思います。

中国でのアニメの制作費の出所といえば、ざっくり3パターンかなと思っています:

①自社費用負担で一部プリプロ+PVまでを作り公開。資本市場・ToC市場向けに自社が作ろうとしている作品の世界観と本編のレベルをアピールする意図で、資本を募る。

②動画プラットフォーム側の下請けとして制作。動画プラットフォームの1社、若くはプラス動画系では無い会社も含め数社程(多くて3社程)がプロジェクト単位で制作費を負担する。

③上記2パターンの他に、IP運営、版権、おもちゃ、ゲーム類の会社が挟む事が有ります(メインの出資製作としても機能)。例えば小説プラットフォームから既に原作のアニメ化リメイク権利などは買い取っており、制作会社のPV制作を委託している、などの状況です。

少なくとも、日本式の「製作委員会形式」の作品はとても少なく、複数の会社が出資している場合でも「窓口権利」の概念でというより株式会社的な思考に似ている感じです。

それに加え、プロジェクト単位な状況も有れば、PVをキッカケに会社への融資という規模の大きな話で有る事も少なくは有りません。

これはこれでメリットは有り:

■出資側からすれば、既に市場の反応と本編のイメージが掴みやすいので、出資への判断がしやすい。(特にオリジナルアニメにとっては大事なことです!)

■制作会社からすると、もしPVで既に資本側やToC市場の反応がよく無い場合は、早めに損切りの判断を降せる。

■現在制作会社が特に困っているのは、制作スタッフで有る事が多い。PVでこれから作る作品を告知するのは、その制作に携わりたいスタッフ募集の意味合いでも使える。

■広告主向けの事前公募的役割。作品内へのプレイスメントや本編の前後、中間に入る作品とのコラボCMの制作などを市場データを武器にアタックして制作準備が出来る。(広告は中国のネットアニメのあるあるですね!)

etc.

それと引き換えとなるデメリットはなんと言っても、ファンの気持ちとなりますが…

資本の融資目当てでは無いPVもそれは勿論存在しており、はなっから製作費の出何処は確保している争奪戦レベルのIPだったり、単純にスタジオが赤字覚悟で何年も情熱だけで作り続けたりなどの作品も有ります。

(因みに監督などが離れるなどプロジェクトが続けられない理由が有り一時放置…ということも有ります。)

最近特に顕著なのは、少人数のスタジオが情熱200%で作るオリジナルアニメは、かなりファンにも支持されます。そしてスタジオへのインタビューではほぼ求人広告が入ります(笑)。

とまあ、今日は「そういえば…」と思った日中アニメビジネス事情での違いを、自分なりにまとめてみました。

中国のアニメ市場は本当に変化が速いので、直ぐに古い考えだと思われる日が来るかもですが、そこはまあ、常にアップデートが必要ですね(常に勉強です)。

ではまた〜

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